■大平貴之氏からのメッセージ

私がプラネタリウムに興味を持った10歳くらいのとき、唯一の参考資料となったのが、百科事典に載っていたカールツアイス製のプラネタリウムの構造図です。2つのレンズ式恒星投影球。太陽や月、惑星その他、様々な天体を再現する補助投影機を含んだ、巨大で精巧な投影機のメカニズムに惹かれ、いつかそれを自分の力で作りたいと夢見るようになったのです。その後、五島プラネタリウムに足を踏み入れたとき、カールツアイス投影機の存在感と重み、そして館全体に漂う幻想的で独特の雰囲気は一気に私を虜にしました。
時は流れ、僕はメガスターという新しい種類の投影機を作り出し、運命のいたずらか、五島プラネタリウム閉館後に残ったドームで上映したこともありました。そのとき、村山定男先生にお会いしてプラネタリウムの未来を託す言葉を頂いて、ツアイスが育んできた重みがずっしりと私の肩に乗ってくるのを感じました。私が五島プラネタリウムに足を運んだのは数えるほどでしたが、途方もない影響と薫陶を受けてきたのです。
私にとってまさに人生の師ともいうべき存在。プラネタリウム文化を今日まで育てる原動力の一翼を担いだ偉大なるツアイス投影機を、かつての勇姿のまま残して欲しいと切に願っています。それはプラネタリウムが単なる教育施設だけでも、娯楽施設だけでもない、文化としてより幅広く理解していただくために欠かせない事なのだと思います。過去を知り、未来のさらなる発展を導くためにも、私からも皆さんにお力添えを切に願いたいと思います。

有限会社大平技研 代表取締役
プラネタリウムクリエイター 大平貴之
「メガスターオフィシャルサイト」


大平貴之氏プロフィール
1970年、神奈川県川崎市生まれ。小学生の頃から数々のプラネタリウム自作に取り組み、学生時代にアマチュアでは例のないレンズ式投影機「アストロライナー」の開発に成功。
1998年、「MEGASTAR(メガスター)」(投影星数150万個)をIPS(国際プラネタリウム協会)ロンドン大会で発表した。
2003年、旧五島プラネタリウムでメガスターIIを初公開。翌年、日本科学未来館に導入された投影星数560万個の「MEGASTAR-II cosmos」がギネスワールドレコードに認定される。
その後も、投影星数2200万個の「Super MEGASTAR-II」や常設専用機種など、新製品を相次いで発表している。
その他、世界初の家庭用プラネタリウム「HOMESTAR」(セガトイズ、世界累計39万台)の開発やアーティストとのコラボレーションなど、活動は多分野に渡る。文部科学大臣表彰受賞。東京大学特任教員、和歌山大学客員教授。

 

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